巷ではLEICAやHasselbladが憧れのカメラの両横綱であった。
フィルムサイズの大きなHasselに私は興味があった。
けど非常に高額なので、若い私には縁なき物であった。
それから日本の高度経済成長と、もう若者ではない中年になっている私には無理すれば買える所まで来ていた(勿論中古品の話)。
ダメなら売ればかなり代金回収出来るし一度はHasselを‥。
中古の500Cを入手、Planar80㎜F2.8付。全くのスタンダード品である。
これは素晴らしかった。
シャープで柔らかい。平板ではない。光の回り方によっては立体感が出る、シャドーが潰れない。
流石だ。
これ以上のものは無い。世界一のカメラだ。
流石にアポロ宇宙船で月へ行ったカメラだ。
当時Hasselで撮った写真はギャラが高いと雑誌で読んだ事がある。
それを思い出し納得の画質。
当時、画質はレンズとフィルムの性能で決まるものであり、
カメラボディは暗箱であり二の次であった。
ミラーショックやシャッターショックによるブレ対策は重要であったが。
画質に影響を及ぼすのは、
フィルムサイズ、
フィルム性能、
レンズ性能、
ミラーショック、
シャッターショック、
と言った所か。
風景では他のジャンルより撮影の時間に余裕があるので、
中判よりフィルムサイズの大きな大判ではどうなのか。
大判カメラはNikonやCanonのマシなのよりむしろ安い。
ウイスタの中古と捨て値のジンマーを買った。
この頃から興味はカメラより写真に。
ジンマーは平板でコントラストも低く力のない魅力ない画質だったが、
大判の良さは十分に判った。
雑誌などを見てレンズをアンギュロンに変えた。
これは風景には最高で、ヌケが良く、硬過ぎない、十分なコントラストがある。
65㎜、90㎜、120㎜があって所有していた。この中でも90㎜は傑作。
抜群の軽量で今でも風景にはアンギュロンが最高と思っている。
大判カメラはまさに風景のその場を空気ごと持ち帰ると言った感じがした。
しかしフィルム代現像代がネックで写せば写すほどお金が掛かる。
12枚で当時2万円(今の3万位かな)ほどしたと思う。
これでは気軽に写せない。
大判のシノゴに準じるフィルムサイズでフィルム代現像代がシノゴより安い6x9判が風景では実用上ベストチョイスじゃないだろうかと考え、試したがむしろ長方形にトリミングすればセミ版となってしまうハッセルの方が結果が良かったように思う。
ペンタックス6x7もあるのだが、シャッターショックが大きく大型三脚が必要で、結果大きく重くなる。やはりショックの少ないレンズシャッター式が三脚も小さくて済み軽量になる。
ホースマンが良い様に思うが、蛇腹式は風に弱く、屋外で特に山では風がない時などあまり無い。
レンズシャッターでボディと一体式のタイプがブレに強いと言える。このタイプの
6x9でレンズ交換出来るのはマミヤプレスしかない。
このタイプでハッセルと同じZEISSかシュナイダーのレンズが使える物が有れば最高のカメラなのだが‥。
こんな夢のカメラが存在したのだ。
リンホフプレス。
実はマミヤプレスの手本となったカメラだ。
高価過ぎて視野外だった。またタマ数も少ないものであった。
円高の為、使える中古品が無理すれば買える所まで来ていた。
やっとの思いで入手する。
シフトやアオリ機構まで付いている。
しかし実際には重過ぎた。金属の塊である。
ブロックにぶつかればスカスカのブロックの方が割れると思える程の金属の塊である。
これを担いで山には登れない。
車での移動なら良いが車ならわざわざリンホフプレスを持ち出さなくてもいくらでも機材を積み込める。
またプラナーは甘めの画質であった。風景にはシュナイダーレンズが最適と思う。
結果、シュナイダーレンズが使える最軽量6x9カメラを自作することになる。(続)
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